ランニング心拍数170は危険?40代の原因と下げる対策

 - ランニング中にスマートウォッチの心拍数を確認する40代日本人男性の様子

こんにちは。ランニングアドバイザーの「TAKE」です。

気持ちよく走っていたはずなのに、ふと手元の時計を見ると心拍数170という数字が表示されてドキッとした経験はありませんか。特に40代を超えると、健康のために走っているはずが逆に体に負担をかけているのではないかと不安になりますよね。

このまま走り続けて大丈夫なのか、それとも心臓に異常があるのか、あるいは単に時計が壊れているだけなのか。そんな疑問を持つのはあなただけではありません。実はこの現象、身体的な理由だけでなく、意外な機器のトラブルが原因であることも多いのです。

この記事では、私が実際に経験したトラブルや専門的な知識を交えながら、その原因と対策についてわかりやすく解説します。

  • 40代にとって心拍数170が持つ意味とリスク
  • 故障ではない?測定器の「ケイデンスロック」現象
  • 脂肪燃焼効率を高める最適なペース配分
  • 数値を正しく管理して安全に継続するコツ
目次

ランニング中の心拍数が170になる原因と危険性

「息はそれほど上がっていないのに、数値だけが高い」。この現象には、生理学的な理由と、使っている道具(ウォッチ)の技術的な理由の2つが考えられます。まずは、なぜその数字が表示されるのか、そのメカニズムを紐解いていきましょう。

40代の平均目安と最大心拍数の計算式

 - 会話できるペースで走る40代日本人ランナーのジョギング風景

ランニングの世界で昔からよく使われている「最大心拍数」の計算式をご存知でしょうか。
一般的には「220 – 年齢」という公式が用いられます。この式は非常にシンプルで分かりやすいため、多くのトレーニング本やジムのガイドラインで採用されています。

私のような40代のランナー(私は現在40代半ばです)に当てはめてみると、計算上の最大心拍数は「180前後」となります。ここから逆算すると、もし心拍計が「170」を示しているなら、それはエンジンの回転数で言うところの「レッドゾーン直前」、最大強度の90%以上で走っている計算になります。

これは通常、全力疾走に近いインターバル走のラスト一本や、レースのゴール直前でようやく到達するようなレベルです。

【豆知識:個人差は大きいです】
この計算式はあくまで統計的な平均値です。実際には±10〜12bpm程度の標準偏差(個人差)があります。もともと心臓が強く、年齢の割に心拍数が上がりやすい(最大心拍数が200近い)タイプの方もいれば、逆に上がりにくい方もいます。

しかし、もしあなたが「会話ができる程度の感覚」で走っているのに170と表示されているなら、それは生理学的な数値と体感強度(RPE:自覚的運動強度)が乖離しています。通常、心拍数170の状態では、筋肉への酸素供給が追いつかず、乳酸が急激に蓄積し始めます。会話どころか、ハァハァと息が上がり、長くは走り続けられないはずです。

生理学的に見ても、40代で心拍数170を維持してジョギングができるというのは、よほどのアスリートでない限り考えにくい現象です。まずは「自分の感覚(楽であること)」を信じて、数値の方に何らかのバイアスがかかっている可能性を疑ってみましょう。

Garmin等の誤作動や誤差の可能性

 - ランニング中に使用される光学式心拍計付きスマートウォッチの接写

私がランニングアドバイザーとして多くの市民ランナーの方から相談を受けるのが、この「謎の心拍数急上昇」です。
現在主流のGarmin(ガーミン)やApple Watchなどのランニングウォッチは、「光学式心拍計(PPG)」という技術を使っています。ウォッチの裏側で緑色の光が点滅しているのを見たことがあると思いますが、あれがセンサーです。

この仕組みは、皮膚にLEDの光を照射し、血流(赤血球)によって吸収・反射される光量の変化を読み取ることで脈拍を算出しています。非常に便利な技術ですが、実はいくつかの「弱点」があります。

影響因子 誤作動の理由
振動・揺れ ランニングの激しい腕振りにより、センサーと皮膚の接触が不安定になります。
外光の侵入 バンドが緩いと太陽光が隙間から入り込み、センサーが正確な光量を測れなくなります。
皮膚温度 冬場などで皮膚表面の温度が低いと、血管が収縮して血流量が減り、信号が弱くなります。
肌の状態 日焼け止めクリームや濃いタトゥー、体毛の濃さなども光の透過に影響します。

特にランニング中は腕を規則正しく激しく振るため、センサーが肌から微妙に浮いたり、汗で滑ったりすることで、正確な脈拍を拾えなくなることがあるのです。「何もしていないのに数値が飛ぶ」という現象の多くは、こうした物理的な接触不良がトリガーになっています。

走り始めに急上昇するケイデンスロック

 - ランニング中の腕振りとリズムを強調した日本人男性ランナーの動作

実は、「心拍数170」という数字にはある特徴的な原因が隠れていることが多いです。それが「ケイデンスロック(Cadence Lock)」と呼ばれる現象です。これは、ランニング界隈では比較的有名なトラブルの一つです。

ケイデンスロックとは?

ウォッチのセンサーが、実際の「心拍数」を見失い、代わりに走っている時の「腕振りのリズム(ケイデンス)」や「着地衝撃の振動」を誤って心拍数として感知し、ロック(同期)してしまうエラー現象のこと。

一般的な市民ランナーのピッチ(1分間の歩数)は、だいたい160〜180歩(spm)の範囲に収まることがほとんどです。これ、ちょうど今回のテーマである「心拍数170」に近い数字だと思いませんか?

特に冬場の走り始めなど、体がまだ温まっておらず、皮膚表面の血流量が少ない時は、ウォッチにとって「脈拍の信号」は非常に微弱です。一方で、腕を振るリズムや足が地面に着く衝撃は、非常に強力で規則的な「ノイズ」としてセンサーに入ってきます。

ウォッチのアルゴリズムが、微弱な心拍信号を見失い、代わりにこの強力なノイズ(170回/分のリズム)を「あ、これが心拍だ!」と勘違いして捉えてしまうのです。これがケイデンスロックの正体です。「全然苦しくないのに、グラフを見るとずっと170や180で横ばいになっている」という場合は、ほぼ間違いなくこの現象だと言って良いでしょう。

脂肪燃焼効果が落ちる無酸素運動ゾーン

 - ゆったりとしたペースで走る40代日本人男性のスタイリッシュなランニング風景

もし測定エラーではなく、本当に心臓がバクバクして170まで上がっているとしたら、それはトレーニング効果の観点から少し見直す必要があります。特に「ダイエット」や「お腹周りをスッキリさせたい」という目的で走っているパパランナーにとっては重要です。

食学の視点からお話しすると、運動中に使われるエネルギー源(糖質と脂質)の割合は、運動強度によって大きく変化します。心拍数が高すぎるゾーン(無酸素運動領域・Zone 4〜5)では、身体はエネルギー源として「脂肪」よりも、すぐに使える「糖質(筋肉中のグリコーゲン)」を優先的に使います。

心拍数とエネルギー代謝の関係

  • 低強度(心拍数120〜140程度): 脂肪燃焼率が高い(ファットバーンゾーン)。長時間続けられる。
  • 高強度(心拍数160〜170以上): 糖質利用率が高い。カロリー消費は多いが、脂肪利用率は低下する。疲労物質(乳酸など)が溜まりやすい。

つまり、健康維持が目的で走っているのに、毎回170まで上げてゼーハー走っていると、「ものすごくキツイ割には、期待しているほど脂肪が燃えていない」という悲しいミスマッチが起きてしまうのです。さらに、高強度のランニングは食欲を増進させるホルモン(グレリン)の分泌を促すこともあり、走った後にドカ食いしてしまう原因にもなりかねません。

めまいや異常を感じたら即中止する基準

いくら「自分は元気だ」と思っていても、40代の体には見えない変化が起きています。血管の柔軟性が少しずつ低下していたり、血圧が高めになっていたりと、若い頃とは条件が異なります。

厚生労働省のe-ヘルスネット等でも言及されていますが、安全な有酸素運動の目安は年齢や体力によって異なります。過度な心拍上昇は心臓への過負荷となり、最悪の場合、心血管系の事故につながるリスクもあります。(出典:厚生労働省e-ヘルスネット『心拍数』)

【免責事項:無理のない範囲で実践してください】
本記事で紹介しているトレーニング方法やケアは、ランニングアドバイザーとしての知識に基づきますが、効果には個人差があります。
痛みや違和感がある場合は直ちに中止し、専門医にご相談ください。当サイトの情報を参考に行ったトレーニングによって生じた怪我・事故について、著者は一切の責任を負いません。

心拍数170の状態が続き、以下のようなサインが出たら、それは「頑張る時」ではなく「止まる時」です。

  • 胸の圧迫感や痛み:締め付けられるような感覚。
  • 冷や汗が出る:運動による汗とは違う、冷たい汗。
  • めまいや立ちくらみがする:脳への血流が不安定になっています。
  • 急激に脈が飛ぶ感覚:不整脈の可能性があります。脈がバラバラになる感じがしたら要注意です。

特に、夏場の脱水時や寝不足の時は心臓への負担が倍増します。「数値が高いな」と思ったら、迷わずウォーキングに切り替える勇気を持つことが、長く走り続けるための秘訣です。無理をして倒れてしまっては、元も子もありませんからね。

ランニングの心拍数を170から適正に下げる対策

では、意図せず上がってしまった心拍数をどうコントロールすれば良いのでしょうか。ここからは、私が普段のアドバイスでも伝えている、明日からすぐに実践できる具体的な対策をご紹介します。

ペースを落としてニコニコペースを維持

心拍数を下げる最も単純かつ強力な方法は、ペースを落とすことです。「そんなの当たり前だ」と思われるかもしれませんが、多くの男性ランナーは「自分が思っている以上にペースを落とす」ことが苦手です。「遅く走るなんて練習にならない」「周りの目が気になる」というプライドが邪魔をしてしまうんですね。

そこでおすすめなのが、福岡大学の田中宏暁名誉教授が提唱された「ニコニコペース」です。これは、その名の通り「隣の人と笑顔で会話ができるくらいの速さ」を目安にします。医学的には、血中の乳酸濃度が上がり始める直前のポイント(AT値)付近を指します。

実際にやってみると、「えっ、こんなに遅くていいの?」と感じるはずです。キロ7分、あるいはキロ8分といった、早歩きに毛が生えた程度のスピードになるかもしれません。場合によってはウォーキング中の高齢者に抜かれることもあるでしょう。でも、それで良いのです。まずは心拍数を130〜140前後に落ち着かせ、その状態で30分、60分と長く動き続けられる体に作り変えていくことが先決です。

マフェトン理論で有酸素運動を習慣化

より体系的に心拍数を管理し、「疲れにくい体」を作りたい方には、「マフェトン理論」というトレーニング手法が非常に参考になります。これはフィリップ・マフェトン博士が考案したもので、「180 – 年齢」という式で算出された数値を上限心拍数とし、それ以上心拍を上げないように徹底してトレーニングするというものです。

40歳の場合の目安(マフェトン理論)

180 – 40 = 140 bpm
(これを超えたら、どんなに調子が良くても歩いて心拍数を落とす)

これを実践すると、最初は少し走っただけですぐに140を超えてしまい、ウォーキングを挟まざるを得なくなります。しかし、我慢して数ヶ月続けると、心臓のポンプ機能や筋肉の毛細血管が発達し、同じ心拍数(140)でも以前より速いペースで走れるようになってきます。これが「有酸素運動能力(エアロビックベース)が向上した」という証拠です。

また、もし「心拍数を抑えてゆっくり走ろうとすると、逆にフォームが崩れて膝が痛くなる」という方は、走ることにこだわらず、別の有酸素運動を取り入れるのも非常に有効です。

例えば、私の姉妹サイト「RIDE HACKs(ライドハックス)」でも紹介しているようなクロスバイクなどの自転車運動は、着地衝撃がないため膝への負担がほぼゼロです。それでいて、心拍数を一定(120〜140程度)に保ちやすいというメリットがあります。「走る日」と「自転車の日」を分けることで、怪我を防ぎながら効率よく心肺機能を高めることができますよ。

RIDE HACKs
RIDE HACKs | クロスバイクの選び方・カスタム・メンテナンス完全ガイド クロスバイクの選び方・カスタム・メンテナンス完全ガイド

胸ベルト等で正確な数値を計測する

 - ランニング前に胸ベルト型心拍計を装着する日本人男性

もしあなたが、「自分の感覚は楽なのに、どうしても数値が高く出る。ケイデンスロックなのか本当の高心拍なのかハッキリさせたい」と悩んでいるなら、ハードウェアへの投資を検討すべきタイミングです。

手首で測る光学式ではなく、胸に巻くタイプの「チェストストラップ型心拍計(胸ベルト)」を使用すれば、この悩みは一発で解決します。

胸ベルトは、病院の心電図と同じように心臓の電気信号を直接検知するため、腕の振動や汗、外光の影響をほぼ受けません。誤差は極めて少なく、医療機器並みの精度を誇ります。

私も普段のジョグではGarminのウォッチだけで済ませますが、インターバル走などのポイント練習や、正確なデータを取りたい時は、必ず胸ベルト(Garmin HRM-Proなど)を装着しています。

「170という数字が嘘か本当か」を疑いながら走るストレスから解放されるだけでも、数千円〜1万円程度の投資価値は十分にあると思います。まずは正確な現状を知ることが、改善への第一歩ですからね。

タイム向上を目指すインターバルの活用

ここまで「心拍数を下げよう」という話をしてきましたが、例外もあります。もしあなたが「フルマラソンでサブ3.5やサブ4を目指したい」という明確な競技志向の目標を持っている場合、あえて心拍数170以上の領域を使うトレーニングも必要になってきます。

それが「インターバル走」や「レペティション」と呼ばれるトレーニングです。
例えば、「1kmを全力の8〜9割で走り、2分間ジョグで休む」といったセットを繰り返すことで、意図的に心拍数をレッドゾーン(Zone 5)まで上げ、そこから回復させる能力を養います。

これにより、最大酸素摂取量(VO2max)を引き上げ、心臓のポンプ機能を強化することができます。

ただし、これは身体への負荷が非常に高いため、あくまで「週に1回程度、体調が万全な時に行う特別なメニュー」として位置付けるべきです。毎日のジョギングで意図せず170になってしまうのとは意味合いが全く違います。メリハリをつけて、リスクを管理しながら取り組むことが大切です。

この記事に関するよくある質問

Q心拍数が170を超えたらすぐに止まった方がいいですか?

A

まずは「会話ができるか」を確認してください。もし普通に会話ができるなら、測定器の誤作動(ケイデンスロック)の可能性が高いです。しかし、息が苦しくて会話ができない、または胸に違和感がある場合は、直ちにペースを落としてウォーキングに切り替えてください。

Q40代ですが、最大心拍数は本当に「220-年齢」で合っていますか?

A

あくまで統計的な平均値であり、個人差が±10〜12拍ほどあります。日頃から運動をしている方は計算式より高い傾向があります。正確に知りたい場合は、専門機関での測定や、坂道ダッシュ等での実測が必要ですが、趣味の範囲なら「公式+10」程度を上限の目安にしても良いでしょう。

Qスマートウォッチの心拍数が正しく測れません。コツはありますか?

A

バンドを普段より一つきつく締めること、そして装着位置を手首の骨(尺骨)より指一本分肘側にずらすことがポイントです。また、冬場はウォーミングアップをして血流を良くしてから計測を始めると、エラーが減りやすくなります。

ランニング心拍数170との上手な付き合い方

 - ランニング後にストレッチをしながら微笑む40代日本人男性

最後にまとめとなりますが、心拍数170という数字は、私たち40代ランナーにとって一つの「重要なサイン」です。

それが機器のエラーであれば「バンドを締め直して」「装着位置がズレてるよ」と教えてくれているのかもしれませんし、身体からのサインであれば「今日は頑張りすぎだよ、少し休もう」「脱水気味かもよ」というメッセージかもしれません。いずれにせよ、無視して良い数字ではありません。

大切なのは、数字に振り回されて一喜一憂するのではなく、「自分の体感(苦しさ)」と「データ」を照らし合わせて、冷静に判断することです。アドバイザーとしておすすめする判断フローは以下の通りです。

170bpmが表示された時のチェックリスト

  • 会話ができる? → Yesなら機器のエラー(ケイデンスロック)の可能性大。気にせず走るか、バンドを調整。
  • 苦しい? → Yesならペースダウン。身体が休息を求めている。
  • 痛みやめまいは? → Yesなら即中止。安全第一で。
  • 怪我や疲労が心配? → 無理せず自転車やウォーキングに切り替える(アクティブリカバリー)。

ランニングは長く細く続けてこそ、本当の健康効果が得られます。時には立ち止まり、心拍計とにらめっこしながら、自分の体と対話する時間を楽しんでくださいね。あなたのランニングライフが、安全で充実したものになることを応援しています!

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