こんにちは。日本ランニング協会認定ランニングアドバイザーのTAKEです。せっかくダイエットや健康維持のためにランニングを始めたのに、毎朝体重計に乗るたびに数字が増えていると本当に落ち込みますよね。
頑張って走った翌日に体重が増えていると、努力が裏切られたような気持ちになり、もうやめてしまおうかと不安になる方も多いのではないでしょうか。でも安心してください。
実はランニングに関する体重増加は、体が運動に適応しようとする過程で起こる正常な反応であることがほとんどです。むくみや筋肉の仕組みを正しく理解すれば、この現象は決して怖くありません。
- ランニング初期に体重が増える「むくみ」と「グリコーゲン」の正体
- 脂肪ではなく筋肉が増えているかを見極める簡単なチェック方法
- 体重増加期に食事制限ではなく積極的に摂るべき栄養素
- いつから痩せ始めるのかという具体的な期間の目安
ランニングで体重が増える原因とメカニズム
「走れば走るほど痩せるはず」と思っている方にとって、体重増加は大きなショックですよね。しかし、私のアドバイザーとしての経験や知識に基づくと、これは体が「ランニング仕様」にモデルチェンジしている最中に起こる一時的な工事のようなものです。
例えば、家をリフォームする時も、新しいキッチンを入れる前には一時的に資材が運び込まれて家の中が散らかったり、足場が組まれたりしますよね? 体の中で起きているのもまさにそれと同じです。ここでは、なぜ物理的に体重が増えるのか、その生理学的な理由を深掘りしていきます。
むくみや水分による一時的な増加の正体
ランニングを始めたばかりの方や、久しぶりに再開した方が直面する体重増加の最大の原因は、実は「脂肪」ではなく「水分」であることがほとんどです。これには大きく分けて2つの理由があります。
1. 炎症による防御反応

ランニングの着地時には、体重の約3倍もの衝撃が体にかかります。特に初心者の方の筋肉はまだこの衝撃に慣れていないため、筋繊維には目に見えない微細な傷(マイクロトラウマ)がつきます。「傷」と聞くと怖く感じるかもしれませんが、これは筋肉が強くなるために必要なプロセスです。
人間の体は非常に優秀で、この傷を修復しようとして患部に血液やリンパ液、炎症を治すためのサイトカインといった成分を一気に集めます。
怪我をして腫れるのと同じ原理ですが、これが太ももやふくらはぎといった大きな筋肉全体で起こるため、結果としてその部分に水分が大量に溜まりやすくなります。これがいわゆる「むくみ(炎症性浮腫)」の正体です。
【ここがポイント】
この時期の体重増加は、筋肉を治すための「修復液」の重さです。脂肪が増えたわけではないので、自分を責める必要はありません。
2. グリコーゲンというガソリンの備蓄

もう一つの大きな要因は、筋肉のエネルギー源である「グリコーゲン」の性質です。運動不足だった頃の体は、それほど多くのエネルギーを筋肉に蓄えておく必要がありませんでした。しかし、ランニングという習慣が始まると、脳は「これは緊急事態だ!もっとすぐに使えるエネルギーを筋肉にストックしておかなければガス欠になる!」と判断します。
そこで、食事から摂った糖質をグリコーゲンとして筋肉や肝臓に急速に貯蔵しようとします。ここで重要なのが、グリコーゲンは単体では存在できず、1gにつき約3gの水分と結合して貯蔵されるという化学的な性質があることです。
例えば、体内のグリコーゲンが300g増えれば、セットで約900gの水も増えるため、合計で1.2kgも体重が増える計算になります。しかし、これは「水太り」ではなく、いつでも走れるように「ガソリン満タン」になった良い状態なのです。
脂肪ではなく筋肉量が増えている可能性

「筋肉は脂肪よりも重い」という話を聞いたことはありませんか? これはダイエット中のランナーにとって、心の支えになる真実です。正確には、重さではなく「密度」が違います。筋肉は脂肪組織よりも密度が高く(約1.1g/cm³)、脂肪(約0.9g/cm³)に比べて約20%ほどギュッと詰まっているため、同じ体積であれば筋肉の方が重くなります。
ランニング、特に坂道トレーニングやスピードを意識した走りをしていると、大腿四頭筋(太もも前)やハムストリングス(太もも裏)、下腿三頭筋(ふくらはぎ)といった下半身の大きな筋肉が発達します。
体重計の数値が増えていても、それは軽くて場所をとる「脂肪」が減って、重くてコンパクトな「筋肉」に置き換わっているサインかもしれません。
ここで大切なのは、「体重計の数値」よりも「見た目の引き締まり」を信じることです。同じ体重60kgでも、体脂肪率が30%の人と20%の人では、見た目のシルエットが全く異なります。後者の方が圧倒的に細く、スタイル良く見えます。
私自身も現役時代、ハードに走り込んで体重が1.8kg増えたことがありましたが、不思議とベルトの穴は一つ奥に入りました。鏡で見ても、ウエスト周りや顔のラインはシュッとしていたのです。これは体が引き締まった証拠以外の何物でもありません。「重くなったけど、細くなった」という現象は、ランナーにとって勲章のようなものです。
女性特有のホルモンやストレスの影響

特に女性ランナーの場合、ホルモンバランスの影響を無視して体重の増減を語ることはできません。生理周期、特に排卵後から生理が始まるまでの「黄体期」は、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が活発になります。
このホルモンには、妊娠に備えて体内に水分や栄養を溜め込もうとする作用があるため、どんなに食事制限や運動をしてもむくみやすく、体重が落ちにくい時期になります。
この時期に「走っているのに痩せない!」と焦って無理をするのは禁物です。むくみと相まって体重が2〜3kg増えることは生理現象として決して珍しくありません。「今はそういう時期だ」と割り切り、体重計に乗るのを控えるのも一つの戦略です。
また、真面目な方ほど陥りやすいのが「ストレス太り」です。「痩せなきゃ」と自分を追い込み、睡眠時間を削ってまで早朝ランニングをしたり、仕事の合間を縫って走ったりしていませんか?
睡眠不足や精神的なストレスがかかると、副腎皮質から「コルチゾール」というストレスホルモンが分泌されます。コルチゾールが過剰になると、体は「生命の危機」を感じて代謝を下げ、脂肪を溜め込みやすくなり、あろうことか筋肉を分解してエネルギーに変えようとしてしまいます。
【アドバイザーからの助言】
「頑張りすぎ」が逆効果になり、体が省エネモード(太りやすい状態)になっている可能性があります。睡眠不足でのランニングは控え、勇気を持ってリラックスする時間を持つことも立派なトレーニングです。
足が太くなるのは脂肪ではない理由
女性のクライアントさんから「走ると足が太くなるから嫌だ」という相談をよく受けます。確かに、走った直後にふくらはぎがパンパンに張って、一回り太くなったように見えることがあります。しかし、これは脂肪がついたのではなく、「パンプアップ」と呼ばれる現象です。
ランニングという激しい運動を行うと、筋肉に大量の酸素と栄養を届けるために血液が集中します。また、代謝によって生じた乳酸などの老廃物が溜まることで、一時的に筋肉が膨張しているのです。これは筋トレ後のボディビルダーと同じ状態で、数時間から半日程度で元に戻ります。
また、前述した「むくみ」によって太く見えているケースも非常に多いです。不安な方は、オリンピックに出るような長距離ランナー(マラソン選手)の足を見てみてください。皆さん、驚くほど細く引き締まった「カモシカのような脚」をしていますよね?
競輪選手や短距離走者のような太い筋肉は、重い負荷をかける無酸素運動で発達する「速筋」です。一方、ランニングのような有酸素運動で使われる「遅筋」は、肥大しにくく引き締まる性質があります。
適切なフォームで走り、ケアを行っていれば、脂肪で大根足になることはまずありません。むしろ、長期的には余分な脂肪が削ぎ落とされ、シャープな美脚に近づいていきます。
いつから減る?痩せ始める期間の目安
読者の皆さんが一番知りたいのは「理屈はわかった。じゃあ、いつ体重が減り始めるの?」という点ですよね。モチベーションを維持するためにも、見通しを持つことは重要です。個人差はありますが、一般的な適応フェーズの目安をお伝えします。
| 期間 | 体の状態 | 体重の傾向 |
|---|---|---|
| 開始〜2週間 | 水分貯留期 | 増える (むくみ・グリコーゲン貯蔵・血液量増加) |
| 1ヶ月〜3ヶ月 | 構成変化期 | 横ばい〜微増 (筋肉が増え、脂肪が減る入れ替わり期間) |
| 3ヶ月以降 | 燃焼期 | 減り始める (基礎代謝向上・毛細血管の発達により脂肪燃焼加速) |
最初の2週間〜1ヶ月は、体がランニングという新しい環境に適応するための「準備期間」だと割り切ることが大切です。「今はエネルギーをチャージして、筋肉を工事しているんだな」と捉え、すぐに結果を求めないでください。
私の経験上、多くの人がこの「最初の壁」で挫折してしまいますが、ここさえ乗り越えれば、3ヶ月後には代謝の良い「痩せ体質」への変化を実感できるはずです。
ランニングで体重が増える際の具体的な対策
体重が増えるのが「正常な反応」だとしても、やはり増え続ける数値を見るのは精神的に辛いものです。そこで、食学スペシャリストとしての視点も交え、この時期をできるだけ短くし、スムーズに脂肪燃焼フェーズへ移行するための具体的なアクションプランをご紹介します。
焦って間違った対策をしてしまうと、本当に「痩せない体」を作ってしまうので注意が必要です。
食事制限よりも栄養バランスを見直す

「運動しても太ったから、もっと食べる量を減らそう」と考えていませんか? 実は、それが一番の落とし穴です。体重が増えたからといって、極端な食事制限(特に糖質抜き)をするのは逆効果です。
エネルギー不足(ガス欠)の状態で走ると、体は自分自身の筋肉を分解(カタボリック)してエネルギーを作り出そうとします。せっかく走っているのに筋肉が減ってしまっては、基礎代謝が落ち、リバウンドしやすい「隠れ肥満体質」になってしまいます。ランナーに必要なのは「減らす食事」ではなく「補う食事」です。
【ご注意:摂取について】
紹介している栄養情報やサプリメントの活用法は、一般的な食学の知識に基づいています。アレルギーや持病をお持ちの方は、必ず医師や薬剤師にご確認の上、ご自身の体調に合わせて取り入れてください。
特に意識していただきたいのは、「運動後30分以内の栄養補給」です。この時間は「ゴールデンタイム」と呼ばれ、摂取した栄養素が最も効率よく筋肉に運ばれる時間帯です。ここでおにぎり(糖質)とゆで卵やプロテイン(タンパク質)を摂ることで、食べたものが脂肪にならず、筋肉のリカバリーとグリコーゲンの補充に優先的に使われます。
また、むくみを解消するための最強の栄養素が「カリウム」です。カリウムには、体内の余分なナトリウム(塩分)と水分を尿として排出させる働きがあります。
私はよく、ランニング後の朝食にバナナ、アボカド、納豆などを積極的に取り入れています。さらに、疲労回復を助ける「クエン酸(梅干しやお酢)」を合わせると、代謝サイクルが回りやすくなりおすすめです。
疲労時はウォーキングに切り替える判断
「毎日走ると決めたから」といって、体が重い、足がパンパンで痛いという時に無理に走っていませんか? そんな時は、「ウォーキング」に切り替える勇気を持ちましょう。これは「逃げ」ではなく「戦略的調整」です。
前述の通り、初期の体重増加の主な原因は「着地衝撃による炎症(むくみ)」です。ランニングは体重の3倍の衝撃がかかりますが、ウォーキングなら約1.1〜1.2倍程度に抑えられます。
衝撃の少ないウォーキングに切り替えることで、筋肉の炎症を抑えつつ、血流を良くして老廃物を流す有酸素運動の効果を維持できます。
「走らなきゃ」という強迫観念を捨て、「今日は早歩きで血流をポンプのように回して、足のむくみを取ろう」とポジティブに捉えてみてください。実際に、私の指導するランナーさんでも、むくみが酷い時に3日間ウォーキングに切り替えた途端、スッと溜まっていた水分が抜けて体重が落ちたという事例は数え切れないほどあります。
マッサージでつらいむくみを解消する方法

体内で増えた水分は、重力の影響でどうしても下半身(特に膝下)に溜まりやすくなります。これを放置すると、足が太く見えるだけでなく、冷えやパフォーマンスの低下にも繋がります。物理的に溜まった水分を流してあげるケアも重要です。
お風呂上がりなど体が温まって血行が良くなっている時に、リンパドレナージュやセルフマッサージを行いましょう。痛いのを我慢して強くやる必要はありません。「気持ちいい」と感じる強さで十分です。
【TAKE流・簡単むくみ解消マッサージ】
- 足裏ほぐし: ゴルフボールや青竹踏みで足裏のアーチをコロコロほぐす。
- ミルキングアクション: 足首からふくらはぎ、膝裏に向かって、両手で下から上へ優しくさすり上げる(乳搾りのようなイメージ)。
- リンパ解放: 膝裏の窪みにあるリンパ節を、指の腹で優しくプッシュして流れを促す。
また、シャワーだけで済ませず、しっかり湯船に浸かることが大切です。水圧(静水圧)がかかることで、足に溜まった血液や水分が押し出され、心臓に戻りやすくなります。入浴後は、翌日の疲労軽減のために着圧ソックス(カーフスリーブ)などを活用するのも一つの手ですね。
危険な体重増加と休むべきサイン
基本的には、ランニングによる体重増加は生理的な反応なので心配ありません。しかし、中には病的なサインが隠れている場合もあり、見逃すと危険なケースもあります。以下の症状がある場合は、運動を直ちに中止して体の声に耳を傾けてください。
【免責事項:無理のない範囲で実践してください】
本記事で紹介しているトレーニング方法やケアは、ランニングアドバイザーとしての知識に基づきますが、効果には個人差があります。
痛みや違和感がある場合は直ちに中止し、専門医にご相談ください。当サイトの情報を参考に行ったトレーニングによって生じた怪我・事故について、著者は一切の責任を負いません。
特に注意してご自身でチェックしていただきたいのが「圧痕性浮腫(あっこんせいふしゅ)」です。すねの骨の上(弁慶の泣き所)を指で5秒〜10秒ほど強く押してみてください。指を離しても凹んだまま皮膚が戻らない場合、単なる運動性のむくみではなく、心臓や腎臓の機能低下により水分排出がうまくいっていない可能性があります。
また、以下のような兆候も「レッドフラグ(危険信号)」です。
- 片足だけが極端に腫れて熱を持っている(深部静脈血栓症の疑い)
- 息切れや動悸を伴う、数日で2〜3kg以上の急激な体重増加(心不全リスク)
- 安静時心拍数が普段より明らかに高い(オーバートレーニング症候群)
健康のためのランニングで体を壊しては本末転倒です。おかしいなと思ったら、自己判断せず(出典:厚生労働省「休養・こころの健康」関連情報等も参考にしつつ)、早めに循環器内科など専門の医療機関を受診してください。
記事に関するよくある質問
Qランニングをやめたら、ついた筋肉が脂肪に変わって太りますか?
いいえ、筋肉が直接脂肪に変化することはありません。筋肉と脂肪は全く別の組織だからです。ただし、ランニングをやめて消費カロリーが減ったのに、食事量(摂取カロリー)がそのままだと、余ったエネルギーが脂肪として蓄積され、結果的に太ることはあります。
Q体重が増えている間は、水分摂取を控えたほうがいいですか?
逆です。水分を控えると、体は危機感を感じて余計に水分を溜め込もうとし、むくみが悪化します。代謝を回して老廃物を排出するためにも、こまめな水分補給(水や麦茶など)を心がけ、循環を良くすることがむくみ解消の近道です。
Qプロテインを飲むと太りますか?
運動後に飲む分には、筋肉の修復に使われるため太る原因にはなりにくいです。むしろ筋肉量を維持・増加させることで代謝アップに役立ちます。ただし、運動せずに普段の食事にプラスして飲むだけでは、単なるカロリーオーバーになるので注意が必要です。
ランニングで体重が増える時期を乗り越える
最後に、これだけは伝えさせてください。ランニングを始めて体重が増えたあなたは、失敗しているのではなく、むしろ「体が変わり始めている順調なスタートライン」に立っています。
私自身もそうでしたが、この「水分の壁」を乗り越えた先に、本当に脂肪が燃焼し始めるボーナスタイムが待っています。多くの人がこの壁の前で引き返してしまいますが、この記事を読んでいるあなたは、もう「なぜ増えたのか」を知っています。理由がわかれば、不安になる必要はありませんよね。
体重計の数値に一喜一憂しすぎず、ベルトの穴の変化や、走った後の爽快感、ご飯の美味しさといった、自分の体のポジティブな変化に目を向けてみてください。焦らず、ゆっくり、自分のペースで続けていきましょう。その先には、きっと理想の体が待っていますよ。一緒に頑張りましょう!

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