20キロ走で体の悪いところがわかる?不調の原因と弱点克服の決定版

20km走に取り組む40代日本人男性ランナーが河川敷を落ち着いた表情で走っている様子

こんにちは。ランニングアドバイザーのTAKEです。

ハーフマラソンへの挑戦や自己ベスト更新を目指して、練習で20kmという距離に挑む方は多いと思います。しかし、走り終わった後に膝の外側が痛くなったり、翌日まで残る激しい疲労感に襲われたりして不安を感じてはいませんか。

実は20キロ走で体の悪いところがわかるというのは、私たち市民ランナーにとって非常に重要なサインなのです。10km程度では勢いでカバーできていたフォームの癖や筋力不足が、20kmという距離の壁にぶつかることで明確な痛みや不調として現れるからです。

この痛みは決してただの失敗ではなく、あなたが次のステップへ進むための貴重な診断結果といえます。

  • 20km走で痛みが出る生理学的・構造的なメカニズム
  • 痛む場所(膝・腰・足)から判別する自分の弱点と対策
  • 走った翌日の体調から読み解く内臓疲労と免疫レベル
  • 怪我のリスクを最小限に抑えながら強くなるための実践法
目次

20キロ走で体の悪いところがわかる理由と仕組み

20km走で繰り返される着地衝撃を受けながら走る日本人ランナーの脚のイメージ

なぜ「10km」や「15km」ではなく、「20km」という距離で身体のボロが出てくるのでしょうか。これには明確な理由があります。私の経験上、そしてスポーツ生理学の観点からも、20km(市民ランナーのペースで約90分〜120分)というのは、人間の身体が耐えられる「エネルギー」と「衝撃」の限界点が重なるタイミングだからです。

10kmまでなら、多少フォームが悪くても筋力と勢いで押し切れてしまいます。しかし、20kmとなると話は別です。着地回数は約2万回にも及び、体重の3倍近い衝撃が繰り返されることで、小さな歪みが大きな痛みへと変わります。いわば、20km走はごまかしの効かない「身体の精密検査」のようなものなのです。

【免責事項:無理のない範囲で実践してください】
本記事で紹介しているトレーニング方法やケアは、ランニングアドバイザーとしての知識に基づきますが、効果には個人差があります。
痛みや違和感がある場合は直ちに中止し、専門医にご相談ください。当サイトの情報を参考に行ったトレーニングによって生じた怪我・事故について、著者は一切の責任を負いません。

膝の外側や内側の痛みが出る原因

20km走の途中で膝の外側に痛みを感じて立ち止まる日本人ランナー

20km走の後半、特に15kmの壁を越えたあたりで最も多くのランナーを悩ませるのが「膝の痛み」です。もしあなたが膝の外側に、針で刺されたような鋭い痛み(ズキッとする痛み)を感じたなら、それは「腸脛靱帯炎(ちょうけいじんたいえん)」、通称ランナー膝の兆候である可能性が非常に高いです。

私自身も過去に、初のハーフマラソンに向けた練習でこの痛みに苦しみました。「膝が悪い」と思い込んでサポーターを巻いたりしましたが、実は原因は膝そのものではなく、「お尻の筋肉(中殿筋)の機能不全」にあったのです。20kmという長丁場で、着地を支えるお尻の横の筋肉が疲労してくると、着地の瞬間に骨盤を水平に保てなくなり、ガクッと反対側に落ちる「ヒップドロップ」という現象が起きます。

このヒップドロップが起きると、太ももの外側にある大きな靭帯(腸脛靱帯)が無理やり引っ張られ、膝の外側にある骨(大腿骨外側上顆)と何度も擦れることで炎症を起こします。つまり、膝の痛みは「お尻がサボっている(疲れている)証拠」なのです。

一方で、膝の内側が痛む場合は「鵞足炎(がそくえん)」などが疑われますが、これは着地の瞬間に膝が内側に倒れ込む「ニーイン」が主な原因です。靴底の減り方を見て、内側ばかり削れていませんか?

20km走ることで、こうした「隠れていたフォームの崩れ」が、明確な痛みとしてあぶり出されるのです。自分の痛む場所が外側なのか内側なのかを知るだけで、強化すべきポイント(お尻の強化なのか、内転筋や足首の柔軟性なのか)がはっきりと見えてきます。

足の甲や股関節の違和感への対策

ランニング後にシューズの紐を調整し足の状態を確認する日本人ランナー

膝だけでなく、足の甲や股関節に違和感が出ることもあります。特に「足の甲が痛い」という相談は意外と多いのですが、これには二つの可能性が考えられます。一つはシンプルに「シューズの紐を締めすぎている」こと。もう一つは「着地衝撃の蓄積による中足骨へのストレス」です。

ランニング中、心臓から送り出された血液は下半身に溜まりやすく、20kmも走ると足はかなりむくんで大きくなります。スタート時はジャストフィットだと思っていたシューズが、15km過ぎには「窮屈な万力」のように足を締め付けていることがあるのです。長距離を走る時は、スタート時の紐の締め具合を「少し余裕があるかな?」くらいにしておくのがコツです。

股関節の詰まりは「着地位置」のサイン
股関節の付け根(前側)に詰まりや痛みを感じる場合、身体の重心よりもかなり前方で着地してしまっている(オーバーストライド)可能性があります。かかとから強く着地し、ブレーキをかけながら走っている状態なので、股関節に過度な負担がかかります。

また、股関節の痛みはフォームのエラーを顕著に表します。脚を前へ前へと出そうとする意識が強すぎると、骨盤の動きが止まり、股関節だけで脚を振り回すような走りになってしまいます。これでは小さな筋肉群に負担が集中してしまいます。

これらの痛みを感じたら、まずはシューズのサイズ感や紐の結び方を見直すこと。そして走っている最中の「足音」に耳を澄ませてみてください。

「バンバン」「ドタドタ」と大きな音がなっていれば、衝撃を吸収できていない、つまり脚の筋肉だけで走っている証拠です。「タッタッ」という軽快なリズムを刻めているか、20kmの後半こそ意識を向けてみてください。

腰の痛みはフォーム崩れのサイン

20km走後半で姿勢が崩れ腰に負担がかかっている日本人ランナーの様子

走り終わった後、脚よりも腰が重たい、あるいは鈍痛を感じることはありませんか。これは、腹筋や背筋といった体幹のインナーマッスルがスタミナ切れを起こし、「反り腰」「猫背(骨盤後傾)」の状態で走り続けた結果であることが多いです。

ランニングは「脚で走る」と思われがちですが、実は「体幹で姿勢を維持して走る」スポーツです。特に20kmの後半、疲れてくると顎が上がり、背中が反り返ったり、逆に腰が落ちて「へっぴり腰」になったりしがちです。

この姿勢のまま、体重の3倍の着地衝撃を受け続けると、クッションの役割を果たせなくなった背骨(腰椎)や周辺の筋肉にダイレクトに負担がかかります。

「20km走ると必ず腰に来る」という方は、脚の筋力トレーニングよりも、プランクなどの体幹トレーニング(スタビライゼーション)を取り入れることで劇的に改善することがあります。また、走っている最中に「おへその下(丹田)」に力を入れ続ける「ドローイン」を意識するだけでも、腰への負担はかなり軽減されます。

腰痛は、ランニングフォームが「重力に負けている」という身体からのSOSです。マッサージでケアするのも大切ですが、根本的に解決するには、長い時間良い姿勢をキープするための「姿勢維持筋」を鍛えることが遠回りのようで一番の近道になります。

適切なペース設定と疲労の関係

「体の悪いところを見つける」のが目的であれば、本番(レース)と同じような速いペースで走る必要は全くありません。むしろ、会話ができる程度のゆっくりとしたペース(LSD:Long Slow Distance)の方が、着地回数が増え、接地時間が長くなるため、フォームの癖や筋力の弱点を見つけやすくなります。

速く走ろうとすると、勢いや心肺機能(ゼーハーする頑張り)でフォームの乱れをカバーしてしまいがちです。勢いで誤魔化せてしまうんですね。しかし、キロ7分や8分といったゆっくりしたペースで長く走ると、ごまかしの効かない「地脚(じあし)」の強さが試されます。

ゆっくり走っているのに、15km過ぎからフォームが崩れてきたり、特定の部位が痛くなったりする場合、それは純粋な筋持久力不足やアライメント(骨格配列)の歪みが原因である可能性が高いです。スピードを出していない分、着地衝撃自体は小さいはずなのに痛むということは、それだけ身体の使い方に無理があるということです。

ここでフォームが維持できなくなる箇所こそが、あなたが重点的に強化すべき弱点です。「速く走る練習」と「弱点を見つけるためのゆっくり長く走る練習」は、目的を明確に分けて行うことをおすすめします。焦る必要はありません。ゆっくり走って見つけた弱点を克服すれば、結果的にスピードもついてきます。

翌日の回復力で内臓の状態を確認

20km走翌日に疲労感を感じながら休息を取る日本人ランナー

【ご注意:摂取について】
紹介している栄養情報やサプリメントの活用法は、一般的な食学の知識に基づいています。アレルギーや持病をお持ちの方は、必ず医師や薬剤師にご確認の上、ご自身の体調に合わせて取り入れてください。

20km走のダメージは筋肉や関節だけではありません。走った翌日に「食欲がない」「なんとなく体がだるくて熱っぽい」と感じる場合、それは筋肉痛ではなく「内臓疲労」のサインです。

長時間の運動中、身体は活動筋(脚などの筋肉)に優先して血液を送ろうとするため、胃腸などの内臓への血流は極端に低下します。その虚血状態で20km走り切り、さらにゴール後に冷たいものを一気に飲んだりすると、胃腸はクタクタに弱ってしまいます。

また、激しい持久運動の直後から数時間は、一時的に免疫力が低下する「オープン・ウィンドウ」と呼ばれる状態になります。

これはウイルスなどの外敵に対する防御壁(ウィンドウ)が開けっ放しになるような危険な時間帯です。(出典:厚生労働省e-ヘルスネット「運動と健康」等でも適度な運動が推奨されていますが、過度な運動は免疫機能に影響を与えることが知られています)

もしあなたが20km走った翌日によく風邪を引いたり、口内炎ができたりするのであれば、トレーニングの強度が今のあなたの回復能力を超えている(オーバートレーニング気味である)証拠かもしれません。

筋肉は休めば治りますが、免疫系や自律神経のダメージは蓄積しやすいものです。「走れる脚」を作るのと同時に、「走った後にしっかり食べ、眠れる身体」を維持することも、市民ランナーには必須のスキルだと言えます。

20キロ走なら体の悪いところがわかるので改善

ここまで、20km走で現れる様々な不調のサインについて解説してきました。「なんだか怖くなってきた」と思うかもしれませんが、心配無用です。痛いところや弱いところがわかれば、あとは対策をするだけだからです。

ネガティブに捉える必要は全くありません。「本番の大会で怪我をしてリタイアする前に、練習で気づけてラッキーだった」と考え、具体的な改善アクションに移りましょう。

練習頻度を見直して怪我を防ぐ

私たち40代以上の市民ランナーにとって、最も重要なのは「練習の内容」ではなく「回復期間(リカバリー)」の設定です。20km走を行った場合、筋肉の微細な損傷や、枯渇したグリコーゲン、そして内臓疲労が完全に回復するには、数日から長ければ1週間程度かかると言われています。

20代の頃なら一晩寝れば回復したかもしれませんが、年齢と共に修復スピードは緩やかになります。「悪いところがわかったから、すぐに筋トレで克服だ!」と焦って連日追い込むのは禁物です。それは傷口に塩を塗るようなものです。

痛みが出た場合は、痛みが完全に引くまでランニングはお休みし、ウォーキングやストレッチ、あるいは完全休養に充てましょう。「休むこともトレーニングの一部」と割り切る勇気が、長く走り続けるための最大の秘訣です。プロのアスリートほど、この「休む勇気」を持っています。焦燥感に駆られて無理をして、長期間の故障(腸脛靱帯炎などは拗らせると半年以上かかります)を招くことだけは避けたいですね。

補給のタイミングと効果的な摂取

20km走の後半で急に足が止まったり、集中力が切れてフォームが崩れたりした経験がある方は、スタミナ不足ではなくエネルギー切れ(ハンガーノック)が原因かもしれません。

人間の体内に貯蔵できる糖質(グリコーゲン)は、一般的に1,500kcal〜2,000kcal程度と言われています。ハーフマラソン規模の運動をすると、個人差はありますが大体90分前後でこの貯蔵タンクが空っぽになり始めます。

脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が不足すると、脳は身体を守るために「動くな」という指令を出します。これが「急激な疲労感」や「身体の重さ」の正体です。

TAKE流・補給の鉄則
「喉が渇く前に飲む」「お腹が空く前に食べる」が基本です。私は45分〜1時間に1回、エナジージェルなどの補給食を摂るようにしています。

ガス欠状態で無理やり走ると、フォームが崩れて怪我のリスクが高まるだけでなく、筋肉を分解してエネルギーに変えようとするため、せっかく鍛えた筋肉が減ってしまうことにもなりかねません。

適切なタイミングで糖質を補給することで、脳の覚醒レベルを保ち、最後まで集中して良いフォームを維持できるようになります。これは「悪いところ」を出さないための予防策として、誰でもすぐに実践できる非常に有効な手段です。

動画撮影で走り方の癖をチェック

スマートフォンで自分の走りを撮影しフォームを確認する日本人ランナー

自分の走っている姿を客観的に見たことはありますか。頭の中のイメージと、実際の動きには驚くほどのズレがあるものです。最近はスマートフォンで簡単に高画質の動画が撮れます。ぜひ一度、20km走の「スタート直後(元気な時)」と「18km地点(疲労困憊の時)」でそれぞれ動画を撮ってみてください。

元気な時は綺麗に走れていても、後半になると身体が左右に大きく揺れていたり、膝が内側に倒れ込んでいたり、腰が落ちてトボトボ走っていたりしませんか。その「変化した部分」こそが、あなたが鍛えるべきポイントです。

例えば、後半に腕振りが止まっているなら肩甲骨周りの柔軟性が必要ですし、腰が落ちているなら体幹の維持力が課題です。

自分の現状を映像で突きつけられるのは少し恥ずかしいかもしれませんが、これほど正確な「診断書」はありません。自分のイメージと実際の動きのズレを修正していく作業は、まるでパズルのようで、ハマると楽しいものですよ。

無理な距離より代替トレの効果

もし20km走るたびに必ずどこかを痛めてしまうなら、今のあなたの身体にとって20kmのランニングは負荷が高すぎるのかもしれません。その場合、無理に20km「走る」ことに固執する必要はありません。

例えば、10km〜15kmまではランニングを行い、残りの時間はエアロバイクや水泳、プールでの水中ウォーキングなどに切り替えるのです。これらは着地衝撃(インパクト)がないため、関節への負担を最小限に抑えつつ、心肺機能や持久力を20km走と同等かそれ以上に追い込むことが可能です。

これを「クロストレーニング」と呼びます。トップアスリートも実践している方法で、怪我のリスクが高いランナーや、故障明けのリハビリ期のランナーにとって、賢く強くなるための非常に有効な手段です。

「走らなければ練習にならない」という固定観念を捨て、自転車や水泳をうまく組み合わせることで、故障知らずの強い身体を作ることができます。

この記事に関するよくある質問

Q20km走はどのくらいの頻度で行うのがベストですか?

A

目的や走力にもよりますが、市民ランナーであれば月に1〜2回、多くても週1回までにしておくのが安全です。特に40代以降は回復に時間がかかるため、毎週末行うと疲労が蓄積し、怪我のリスクが高まります。

Q走っている最中に膝が痛くなったら、歩いて完走すべきですか?

A

鋭い痛みが出た場合は、直ちに中止して引き返す勇気を持ってください。痛みをかばって歩くと、変な力が入って他の部位(腰や逆の足)を痛める原因になります。「勇気ある撤退」も立派なトレーニング判断です。

Q初心者ですが、いきなり20km走っても大丈夫ですか?

A

おすすめしません。まずは5km、10kmを余裕を持って走れる基礎を作ってから挑みましょう。目安として、10kmを60分〜70分程度で無理なく走れるようになってから20kmに挑戦すると、怪我のリスクを減らせます。

20キロ走で体の悪いところがわかれば強くなる

20キロ走は、あなたの身体の現状を正直に映し出す鏡のようなものです。そこで感じる痛みや疲労は、身体からの「ここを直せばもっと速く、長く走れるよ」というポジティブなメッセージです。

「20キロ走で体の悪いところがわかる」ことを恐れず、むしろ自分の弱点を発見する絶好のチャンスだと捉えてみてください。その弱点を一つずつクリアしていけば、必ず昨日の自分よりも強く、そして長く走り続けられるようになります。焦らず、自分のペースで、身体の声に耳を傾けながら、長く楽しいランニングライフを送っていきましょう。

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